インシュレーターの基本
メカニックダイオードとは?

まず、「ダイオード」とは何か?と言う事を簡単にご紹介します。
ダイオードとは、電子回路の中で使われる電子部品の一つで、 「決まった方向にしか、電気を流さない」性質を持った部品です。
KRYNAでは、スパイクタイプのインシュレーターの 「決まった方向にしか、振動を伝えない」性質に着目して、 そのような性質を「メカニックダイオード」と呼んでいます。

KRYNAのアクセサリー開発の基本理念とは、 「オーディオアクセサリーはシステムの性能を引き出すための黒子である」と言う事。
スピーカーケーブルもインシュレーターも、それぞれが本来の役割だけを行う事が理想であり、それ以上の自己主張をする必要はありません。

では、インシュレーターの本来の役割とはいったい何でしょうか?

KRYNAが考えるオーディオインシュレーターの役割は二つ。

  • システムの振動を、システムの外に逃がす事
  • 外部の振動から、システムを守る事

この二つの役割を同時に行う事ができる構造こそが、メカニックダイオードなのです。

インシュレーターの素材としては、様々な木や金属など色々な素材が使われていますが、 それらの素材及び形状によってそれぞれに「振動伝達率」という値が決まります。
この「振動伝達率」とは、”振動の伝わりやすさ“を表す値で、 立方体や円柱など上から下まで均一な形状では上下どちらの方向から見ても同じ値になります。

そこで、「上から下まで均一な形状」ではない、円錐形のスパイクの登場です。

上が広く下が狭くなるスパイク形状では、上から下への振動伝達率は高く、 効果的に振動を外に逃がしますが、下から上への振動伝達率は低いため、 外部の振動からシステムを守る事ができます。

右の図1・図2は、試作品を使用した実験のデータです。
図1は、スパイクの上から下への振動の伝わりやすさを調べた結果で、 ある周波数以上の振動伝達率が約1600になっている事がわかります。

一方、図2はスパイクの下から上への振動の伝わりやすさを調べた結果で、 こちらは、ある周波数以上の振動伝達率は4.5程度になっています。

図1 振動伝達率(上から下)
図2 振動伝達率(下から上)
図3 実験機材
目次

実験データからメカニックダイオードの効果

そのメカニックダイオードの効果をもっと分かりやすいデータとしてみるために、 計測器を使った実験を行います。

今回実験に使う計測器は、図4に示す走査型プローブ顕微鏡です。
この計測器は、図5に示すようにして、物の形を原子レベルで計測する事が出来る計測器で、 非常に精度が高いため、余計な振動の影響を受けやすい、非常に繊細な計測器です。

この実験では、計測を”行き”(左から右)と”帰り”(右から左)の2回行い、 それぞれの計測結果のずれの量を調べます。

メカニックダイオードを使用する事によって結果のずれの量が減る事で、 計測器の精度が向上している(余計な振動が減っている)という事が確認できます。

右の図6は、計測器のみで計測した結果です。
行き(赤い線)と帰り(青い線)の計測結果がずれてしまっている事がわかります。
計測結果のずれの原因としては様々な事が考えられるのですが、 計測器の内部の振動や、周囲の環境によるノイズが主な原因となります。

では、図7を見てみましょう。
こちらは、上で実験を行った試作品を使用して、 計測器の振動対策を行ったときの結果です。
図5に比べて行き(赤い線)と帰り(青い線)が近づいていて、 測定の精度が向上している事がわかります。

メカニックダイオードをオーディオに使用したときの効果は、 「音」という目に見えない形となって現われるため、 明確な評価を行う事が難しくなってしまいますが、 この様な実験を行う事で、 メカニックダイオードによってシステムの動作精度が向上している事を確かめる事ができます。

図4 実験器具
図5 実験イメージ
図6 インシュレーター無し
図7 インシュレーター有り

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