オーディオインシュレータの不思議①-2

振動から生じる雑音(スピーカ)

ほとんどのスピーカはダイナミック型で、直流モーターと同じ、フレミングの左手の法則によって駆動されます。
永久磁石で作られた磁界の中に置いたコイルに音楽信号を流して駆動し、振動板(コーン紙)を振動させて音を放射します。
この時、コイルは磁界を基準として音楽信号と同じ駆動力を作り出すのですが、
磁界が揺らいでいると正しい駆動力を作り出せません。
磁界の揺らぎが音楽信号とは別の雑音となって再生音に加わってくるのです。

揺らぎの原因は、コイルに流れる音楽信号が作る磁界による
固定磁界の歪みとマグネット自体の振動による基準点の揺らぎです。
前者は補償コイルなどである程度対応できますが、後者は地震みたいなもので,対策しにくいものとなります。

マグネットが振動する原因は、スピーカの構造にあります。
第一の原因は、スピーカユニットがエンクロージャに取り付けられていることです。
バッフルの振動がフレームを通してマグネットに伝搬し、マグネットを振動させます。

第二の原因は、音楽信号によってコイル(振動板)が振動する反力を受けて、マグネットが振動します。
いずれにしても、最終的にマグネットの振動が振動の基準を揺らせてしまい、雑音を作り出します.

これらの対策としては、

①バッフルの振動を積極的に外部へ逃がす
②マグネットの振動自体を吸収する

などが考えられます。

①の対策法としては、バッフルの振動原因が外部由来による空気伝搬と固体伝搬による加振と、
内部由来によるスピーカユニットの反動とエンクロージャ内の音圧が考えられます。
いずれの原因に対しても、①-1で説明したインシュレータが役に立ちます。
インシュレータを通して雑音発生のもととなる振動を除去します。

(スピーカの設置方法で,宙吊りの考え方もありますが、固体伝搬振動以外への対策ができないように思われます。)

②の対策としては、マグネットから直接インシュレータを通してエンクロージャに伝達・吸収させる方法があります。
インシュレータによる振動低減効果の一例を図1と2に示します。

図1の特性を持つインシュレータは、4kHz以上の振動をスタンド側に伝達して逃がす特性ですが
図2のように、インシュレータを使用した(b)の方では振動が大きいことを示す「青色」の部分が減少しており
バッフルの振動が抑制されることが分かります。

KRYNAのスピーカシステムは、②の対策方法を採用するとともに、
①の対策には,D-PropT-Prop,E-Prop,Stage-IIなどを用い
不要な雑音除去によるクリアーでHGS(ホログラフィックサウンド)の実現に努めています.

図1インシュレータの特性
図2 インシュレータによるスピーカバッフルの振動低減効果

Share