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オーディオインシュレータの不思議①-5

スティッキー溶液の効果

 既にご存じだと思いますが、インシュレータの受け皿などにスティッキー溶液を垂らすと
雑音が減ってすっきりした音になったり、音像の位置が高くなったりしますね。
一滴の液体をインシュレータの先端部に垂らすだけです。
ちょっとしたおまじないの様ですけど、なぜ効果があるのでしょうか?
同様なことは水道水でも起こりますが、スティッキー溶液の効果の方が大きいですね。
これは、インシュレータで伝達された振動の一部が液体で吸収され、より一層振動除去効果が上がったからと考えられます。
振動除去効果がなぜ起こるか、図で説明しましょう。

図1 振動を回転に変換


水やスティッキー溶液には、図1に示すように棒の両端にプラスの電荷とマイナスの電荷をもつ電気双極子が含まれています。
この電気双極子が、水平な地磁気の中で上下に振動させられると、水平方向に回転します。
この回転力は上下振動によって生じますから、上下振動のエネルギーが回転運動に変換されることになります。
そのため、振動が吸収されるわけですが、水の場合は、電気双極子が水の分子そのもので非常に小さく、
吸収できるエネルギーが小さくて効果は認められますが、スティッキー溶液ほどではありません。
詳しくは後日説明しますが、スティッキー溶液には大きな電気双極子(長い棒の端に、片方はプラスの電荷、もう片方はマイナスの電荷がくっついているもの)が多数含まれているので、振動エネルギーの吸収量が大きくなっていると考えられます。

では、水やスティッキー溶液に浸されているインシュレータの先端ではどうなっているのでしょうか?

図2 振動の伝達と吸収

図2に示すように、上に載せた機器の振動がインシュレータの上端から先端に向かって伝わってきています。

振動が先端から受け皿へと伝達されるときに反射が起こります(防波堤での波の反射と同じ)。
先端に伝わってきた振動により液体は振動し、受け皿へ伝わる振動を低減するとともに、
この反射波対しても同様に吸収して低減する役割を果たします。
振動の大部分は床へ伝達されると考えられますが、受け皿に生じた振動を吸収することで、
上に載せた機器へ反射波が戻るのを低減させることができるわけです。
その量は、1/1000とか1/10000とか非常に少ないようにも思われますが、
小さな積み重ねが、大きな効果へとつながってゆきます。
人間の聴覚の感度が大気圧の1/500~1/50,000,000範囲にあることを考慮すると油断できないわけです。

電気的に1/1000といっても高々60dB、聴覚の感度の幅は略140dBですし、
マスキング効果により、音楽信号に一致する周波数の雑音は聞こえませんが
それ以外の周波数に雑音は聞こえてしまいます。
つまり、広帯域雑音は音楽信号以外聴覚によって認識されているということです。
特に、いくら出来の良いオーディオをそろえても、機器に生じる振動は0にはできません。
この振動の影響を低減するには、振動の発生原理やその影響について解析するとともに、
如何にその影響をなくすかの対策を講じる必要があります。

微少・微弱だから関係ないと思われますが、霧や靄は非常に小さな粒ですが見通しを悪くします。
オーディオでも、微細な雑音が音の透明感を損ね、概ね良いのだけれど、何か違うよねといった感覚にさせてしまいます。
なぜなら、振動は、電気的対策とは別個の対策をする必要があるからです。

 KRYNAは、電子機器としか認識されていないアンプやプレーヤ、スピーカに対し、
電気的な要因以外で生じる雑音対策に取り組んできました。
その中でいち早く振動の影響を踏まえた対策としてインシュレータを開発するとともに、
その効果をより一層高めるスティッキー溶液の開発もしてきました。
オーディオではどちらかというとタブー視される液体を、雑音対策に積極的に取り込んできているわけです。
スティッキー溶液がもたらす効果とその原理については、後日説明いたします。

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